健 発1202第 9 号 平 成 2 7 年 1 2 月 2 日
都道府県知事
各 政 令 市 長 殿 特 別 区 長
厚 生 労 働 省 健 康 局 長
(公 印 省 略)
アレルギー疾患対策基本法の施行について(施行通知)
現在 、我 が国で は、国 民の約 二人 に一人 が、気 管支ぜ ん息、ア トピー性皮膚炎 、花粉 症、食 物ア レルギ ーなど のアレ ルギ ー疾患 に罹患 してい ると言わ れており、その 患者数 は近年増加傾向にあり、重大な問題となっている。
アレ ルギ ー疾患 の中に は、急 激な 症状の 悪化を 繰り返 したり、 重症化により死 に至っ たりす るも のがあ り、職 場、学 校等 のあら ゆる場 面で日 常生活に 多大な影響を及 ぼして いる。
しか し、 地域に よって は、適 切な 医療を 受けら れる体 制の整備 が進んでおらず 、情報 が少な いた めに適 切な医 療機関 を選 択でき ず、誤 った民 間療法で 症状が悪化する 場合も 少なくない。
このような状況に鑑み、総合的なアレルギー疾患対策を推進するため、第 186 回通常 国会において、議員立法により、平成 26 年6月 20 日に「アレルギー疾患対策基本法」 が成立し、平成26年6月27日法律第 98 号として公布されたところである。
本法の施行日については、附則第1条において、「公布の日から起算して一年六月を超 えない 範囲 内にお いて政 令で定 める 日から 施行す る」と 定められ ており、本日「 アレル ギー疾患対策基本法の施行期日を定める政令」(政令第400号)が公布され、平成 27 年12 月25日から施行されることとなったところである。
つい ては 、本法 制定の 趣旨及 び主 な内容 は下記 のとお りである ので、アレルギ ー疾患 対策の 一層 の推進 に向け て、十 分御 了知の 上、貴 管内市 町村、関 係団体及び関係 機関等 に周知徹底を図るとともに、その実施に遺漏なきようお願いする。
記
第1 法制定の趣旨
今回 の法制 定は、 アレル ギー 疾患を 有する 者が多 数存在す ること、アレル ギー疾 患 には 急激な 症状の 悪化を 繰り 返し生 じさせ るもの があるこ と、アレルギー 疾患を 有 する 者の生 活の質 が著し く損 なわれ る場合 が多い こと等ア レルギー疾患が 国民生 活 に多 大な影 響を及 ぼして いる 現状及 びアレ ルギー 疾患が生 活環境に係る多 様かつ 複 合的 な要因 によっ て発生 し、 かつ、 重症化 するこ とに鑑み 、アレルギー疾 患対策 の 一層 の充実 を図る ため、 アレ ルギー 疾患対 策に関 し、基本 理念を定め、国 、地方 公 共団 体、医 療保険 者、国 民、 医師そ の他の 医療関 係者及び 学校等の設置者 又は管 理 者の 責務を 明らか にし、 並び にアレ ルギー 疾患対 策の推進 に関する指針の 策定等 につ いて定 める ととも に、ア レルギ ー疾 患対策 の基本 となる 事項に ついて 定め たも のであること。
第2 法の主な内容 1 総論的な事項
(1)目的
この 法 律は 、ア レル ギー疾 患対 策を総 合的に 推進 するこ とを目 的とす ること 。
(第1条関係)
(2)定義
この法律において「アレルギー疾患」とは、気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、 ア レ ルギ ー 性鼻 炎、ア レルギ ー性 結膜炎 、花粉 症、 食物ア レルギ ーその 他アレ ル ゲ ン に起 因 する 免疫反 応によ る人 の生体 に有害 な局 所的又 は全身 的反応 に係る 疾 患であって政令で定めるものであること。(第2条関係)
なお、政令は定められていない。
(3)基本理念
ア レルギ ー疾患 対策は 、次 に掲げ る事項 を基本 理念とし て行われなけれ ばなら ないこと。(第3条関係)
ア アレル ギー疾 患が生 活環 境に係 る多様 かつ複 合的な要 因によって発生 し、か つ 、重症 化する ことに 鑑み 、アレ ルギー 疾患の 重症化の 予防及び症状の 軽減に 資 するた め、第 2の3 に定 める基 本的施 策その 他のアレ ルギー疾患対策 に関す る施策の総合的な実施により生活環境の改善を図ること。
イ アレル ギー疾 患を有 する 者が、 その居 住する 地域にか かわらず等しく 科学的 知 見に基 づく適 切なア レル ギー疾 患に係 る医療 (以下「 アレルギー疾患 医療」 という。)を受けることができるようにすること。
ウ 国民が 、アレ ルギー 疾患 に関し 、適切 な情報 を入手す ることができる ととも に 、アレ ルギー 疾患に かか った場 合には 、その 状態及び 置かれている環 境に応 じ 、生活 の質の 維持向 上の ための 支援を 受ける ことがで きるよう体制の 整備が なされること。
エ アレル ギー疾 患に関 する 専門的 、学際 的又は 総合的な 研究を推進する ととも に 、アレ ルギー 疾患の 重症 化の予 防、診 断、治 療等に係 る技術の向上そ の他の 研究等の成果を普及し、活用し、及び発展させること。
(4)国の責務
国 は、第 2の1 の(3 )の 基本理 念(第 2の1 の(5) において「基本 理念」 という。)にのっとり、アレルギー疾患対策を総合的に策定し、及び実施する責務 を有すること。(第4条関係)
(5)地方公共団体の責務
地 方公共 団体は 、基本 理念 にのっ とり、 アレル ギー疾患 対策に関し、国 との連 携を 図りつ つ、自 主的か つ主 体的に 、その 地域の 特性に応 じた施策を策定 し、及 び実施するよう努めなければならないこと。(第5条関係)
(6)医療保険者の責務
医療保険者(介護保険法(平成9年法律第 123 号)第7条第7項に規定する医 療保険者をいう。)は、国及び地方公共団体が講ずるアレルギー疾患の重症化の予 防及 び症状 の軽減 に関す る啓 発及び 知識の 普及等 の施策に 協力するよう努 めなけ ればならないこと。(第6条関係)
(7)国民の責務
国 民は、 アレル ギー疾 患に 関する 正しい 知識を 持ち、ア レルギー疾患の 重症化 の予 防及び 症状の 軽減に 必要 な注意 を払う よう努 めるとと もに、アレルギ ー疾患 を有する者について正しい理解を深めるよう努めなければならないこと。(第7条 関係)
(8)医師等の責務
医 師その 他の医 療関係 者は 、国及 び地方 公共団 体が講ず るアレルギー疾 患対策 に協 力し、 アレル ギー疾 患の 重症化 の予防 及び症 状の軽減 に寄与するよう 努める とと もに、 アレル ギー疾 患を 有する 者の置 かれて いる状況 を深く認識し、 科学的 知見 に基づ く良質 かつ適 切な アレル ギー疾 患医療 を行うよ う努めなければ ならな いこと。(第8条関係)
(9)学校等の設置者等の責務
学 校、児 童福祉 施設、 老人 福祉施 設、障 害者支 援施設そ の他自ら十分に 療養に 関し 必要な 行為を 行うこ とが できな い児童 、高齢 者又は障 害者が居住し又 は滞在 する施設(以下「学校等」という。)の設置者又は管理者は、国及び地方公共団体 が講 ずるア レルギ ー疾患 の重 症化の 予防及 び症状 の軽減に 関する啓発及び 知識の 普及 等の施 策に協 力する よう 努める ととも に、そ の設置し 又は管理する学 校等に おいて、アレルギー疾患を有する児童、高齢者又は障害者に対し、適切な医療的、 福祉的又は教育的配慮をするよう努めなければならないこと。(第9条関係)
(10)法制上の措置等
政 府は、 アレル ギー疾 患対 策を実 施する ため必 要な法制 上又は財政上の 措置そ の他の措置を講じなければならないこと。(第10条関係)
2 アレルギー疾患対策基本指針等に関する事項
(1)アレルギー疾患対策基本指針の策定等
ア 厚生労 働大臣 は、ア レル ギー疾 患対策 の総合 的な推進 を図るため、ア レルギ ー疾患対策の推進に関する基本的な指針(以下「アレルギー疾患対策基本指針」 という。)を策定しなければならないこと。(第 11 条第1項関係)
イ アレル ギー疾 患対策 基本 指針は 、次に 掲げる 事項につ いて定めるもの とする こと。(第11条第2項関係)
(ア)アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な事項
( イ)ア レルギ ー疾患 に関 する啓 発及び 知識の 普及並び にアレルギー疾 患の予 防のための施策に関する事項
(ウ)アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項
(エ)アレルギー疾患に関する調査及び研究に関する事項
(オ)その他アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項
ウ 厚生労 働大臣 は、ア レル ギー疾 患対策 基本指 針を策定 しようとすると きは、 あ らかじ め、関 係行政 機関 の長に 協議す るとと もに、ア レルギー疾患対 策推進 協議会の意見を聴くものとすること。(第11条第3項関係)
エ 厚生労働大臣は、アレルギー疾患対策基本指針を策定したときは、遅滞なく、 こ れをイ ンター ネット の利 用その 他適切 な方法 により公 表しなければな らない こと。(第11条第4項関係)
オ 厚生労 働大臣 は、適 時に 、アレ ルギー 疾患対 策基本指 針に基づくアレ ルギー 疾 患対策 の効果 に関す る評 価を行 い、そ の結果 をインタ ーネットの利用 その他 適切な方法により公表しなければならない。(第11条第5項関係)
カ 厚生労 働大臣 は、ア レル ギー疾 患医療 に関す る状況、 アレルギー疾患 を有す る者を取り巻く生活環境その他のアレルギー疾患に関する状況の変化を勘案し、 及 び第2 の2の (1) のオ の評価 を踏ま え、少 なくとも 5年ごとに、ア レルギ ー 疾患対 策基本 指針に 検討 を加え 、必要 がある と認める ときには、これ を変更 しなければならないこと。(第 11 条第6項関係)
(2)関係行政機関への要請
厚 生労働 大臣は 、必要 があ ると認 めると きは、 関係行政 機関の長に対し て、ア レル ギー疾 患対策 基本指 針の 策定の ための 資料の 提出又は アレルギー疾患 対策基 本指 針にお いて定 められ た施 策であ って当 該行政 機関の所 管に係るものの 実施に ついて、必要な要請をすることができること。(第12条関係)
(3)都道府県におけるアレルギー疾患対策の推進に関する計画
都 道府県 は、ア レルギ ー疾 患対策 基本指 針に即 するとと もに、当該都道 府県に おけ るアレ ルギー 疾患を 有す る者に 対する アレル ギー疾患 医療の提供の状 況、生 活の 質の維 持向上 のため の支 援の状 況等を 踏まえ 、当該都 道府県における アレル ギー疾患対策の推進に関する計画を策定することができること。(第 13 条関係)
3 基本的施策に関する事項
(1)アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ア 知識の普及等
国は、生活環境がアレルギー疾患に及ぼす影響に関する啓発及び知識の普及、 学 校教育 及び社 会教育 にお けるア レルギ ー疾患 の療養に 関し必要な事項 その他 の アレル ギー疾 患の重 症化 の予防 及び症 状の軽 減の適切 な方法に関する 教育の 推 進その 他のア レルギ ー疾 患の重 症化の 予防及 び症状の 軽減に関する国 民の認 識を深めるために必要な施策を講ずるものとすること。(第14条関係)
イ 生活環境の改善
国は、 アレル ギー疾 患の 重症化 の予防 及び症 状の軽減 に資するよう、 大気汚 染の防止、森林の適正な整備、アレルギー物質を含む食品に関する表示の充実、 建 築構造 等の改 善の推 進そ の他の 生活環 境の改 善を図る ための措置を講 ずるも のとすること。(第15条関係)
(2)アレルギー疾患医療の均てん化の促進等
ア 専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成
国は、 アレル ギー疾 患に 関する 学会と 連携協 力し、ア レルギー疾患医 療に携 わ る専門 的な知 識及び 技能 を有す る医師 、薬剤 師、看護 師その他の医療 従事者 の育成を図るために必要な施策を講ずるものとすること。(第 16 条関係) イ 医療機関の整備等
( ア)国 は、ア レルギ ー疾 患を有 する者 がその 居住する 地域にかかわら ず等し くそ のアレ ルギー 疾患 の状態 に応じ た適切 なアレル ギー疾患医療を 受ける こと ができ るよう 、専 門的な アレル ギー疾 患医療の 提供等を行う医 療機関 の整備を図るために必要な施策を講ずるものとすること。(第 17 条第1項 関係)
( イ)国 は、ア レルギ ー疾 患を有 する者 に対し 適切なア レルギー疾患医 療が提 供さ れるよ う、国 立研 究開発 法人国 立成育 医療研究 センター、独立 行政法 人国 立病院 機構の 設置 する医 療機関 であっ て厚生労 働大臣が定める もの、 第2 の3の (2) のイ の(ア )の医 療機関 その他の 医療機関等の間 におけ る連 携協力 体制の 整備 を図る ために 必要な 施策を講 ずるものとする こと。
(第17条第2項関係)
(3)アレルギー疾患を有する者の生活の質の維持向上
ア 国は、 アレル ギー疾 患を 有する 者の生 活の質 の維持向 上が図られるよ う、ア レ ルギー 疾患を 有する 者に 対する 医療的 又は福 祉的援助 に関する専門的 な知識 及 び技能 を有す る保健 師、 助産師 、管理 栄養士 、栄養士 、調理師等の育 成を図 るために必要な施策を講ずるものとすること。(第18条第1項関係)
イ 国は、 アレル ギー疾 患を 有する 者に対 しアレ ルギー疾 患医療を適切に 提供す る ための 学校等 、職場 等と 医療機 関等と の連携 協力体制 を確保すること 、学校 等 の教員 又は職 員、事 業主 等に対 するア レルギ ー疾患を 有する者への医 療的、 福 祉的又 は教育 的援助 に関 する研 修の機 会を確 保するこ と、アレルギー 疾患を 有 する者 及びそ の家族 に対 する相 談体制 を整備 すること 、アレルギー疾 患を有 す る者に ついて の正し い理 解を深 めるた めの教 育を推進 することその他 のアレ ル ギー疾 患を有 する者 の生 活の質 の維持 向上の ために必 要な施策を講ず るもの とすること。(第18条第2項関係)
(4)研究の推進等
ア 国は、 アレル ギー疾 患の 本態解 明、革 新的な アレルギ ー疾患の予防、 診断及 び 治療に 関する 方法の 開発 その他 のアレ ルギー 疾患の罹 患率の低下並び にアレ ル ギー疾 患の重 症化の 予防 及び症 状の軽 減に資 する事項 についての疫学 研究、 基 礎研究 及び臨 床研究 が促 進され 、並び にその 成果が活 用されるよう必 要な施 策を講ずるものとすること。(第 19 条第1項関係)
イ 国は、 アレル ギー疾 患医 療を行 う上で 特に必 要性が高 い医薬品、医療 機器及 び 再生医 療等製 品の早 期の 医薬品 、医療 機器等 の品質、 有効性及び安全 性の確 保等に関する法律(昭和35年法律第145号)の規定による製造販売の承認に資 す るよう 、その 治験が 迅速 かつ確 実に行 われる 環境の整 備のために必要 な施策 を講ずるものとすること。(第 19 条第2項関係)
(5)地方公共団体が行う基本的施策
地方公共団体は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、第2の3の(1) から (3) までに 定める 施策 を講ず るよう に努め なけれ ばなら ないこと。(第 20 条関係)
4 アレルギー疾患対策推進協議会に関する事項
(1 )厚 生労働 省に、 アレル ギー 疾患対 策基本 指針に 関し、第 2の2の(1) のウの 事項を処理するため、アレルギー疾患対策推進協議会(以下「協議会」という。) を置くこと。(第21条関係)
(2 )協 議会の 委員は 、アレ ルギ ー疾患 を有す る者及 びその家 族を代表する者 、アレ ルギ ー疾患 医療に 従事す る者 並びに 学識経 験のあ る者のう ちから、厚生労 働大臣 が任命すること。(第22条第1項関係)
(3)協議会の委員は、非常勤とすること。(第22条第2項関係)
(4 )第 2の4 (2) 及び( 3) に定め るもの のほか 、協議会 の組織及び運営 に関し 必要な事項は、政令で定めること。(第 22 条第3項関係)
5 施行期日等に関する事項
(1 )こ の法律 は、公 布の日 から 起算し て1年 6月を 超えない 範囲内において 政令で 定める日から施行すること。(附則第1条関係)
アレルギー疾患対 策基本法の施行 期日を定める政令にお いて、施行期日 は、平 成27年12月25日とすること。
(2)その他所要の規定を整備すること。